ILLCOMMONZ IRREGULAR AKADEMY

土曜の夜、何をするのかと思えば、
『ILLCOMMONZ IRREGULAR AKADEMY』
へ足が向く。とても楽しみにしていたイベントだ。



講師は元現代美術家で民俗誌家の
イルコモンズ(a.k.a.小田マサノリ)氏、
さらに『抵抗食の会(仮)』の皆さんが
協力したオールナイトイベントで、
スケジュールは以下の通りでした。


20:00-24:00 イルコモンズアカデミー1時間目
24:00-25:00 真夜中の給食(ギフトカリーズ)
25:00-27:00 イルコモンズアカデミー2時間目
27:00-28:00 三時のおやつ
 (イルとクラのカステラとサパティスタコーヒー)
28:00-29:00 ダンプスター遠足ダイヴin新宿
29:00-32:00 イルコモンズアカデミー3時間目
32:00-35:00 イルコモンズアカデミー4時間目
35:00-37:00 イルコモンズアカデミー5時間目
37:00-38:00 ホームルーム
38:00-39:00 そうじ



僕は夜11時頃に会場に到着し、
その時ちょうど上映の最中だった、
『いちご白書』の終わりの部分を
内容がわからないままちらっと後ろの方で覗きみる。


ジョン・レノン『平和を我らに』のコーラスをみんなで歌うところや、
過剰暴力を振るう機動隊との衝突シーンなんかの演出が面白くて、
これ最初から観たかったな〜と、遅れてきたことを後悔した。


この『いちご白書』は、アメリカンニューシネマの作品群に
位置する映画なのだろうけど、『真夜中のカウボーイ』や
イージーライダー』は大好きで何度も観たのに、
コレだけスルーして来たことを少し反省。


『いちご白書』終了後、この映画のモデルとなった
学園紛争などの貴重なドキュメンタリーフィルムを見て、
短い休憩を挟み、『真夜中の給食』の時間となる。


■真夜中の給食(ギフトカリーズ)
午前0時30分〜


少しの休憩の後、
『抵抗食の会(仮)』の皆さん(仮)が作ってくれた
カレーやサラダ、ポテト、スパイシーチキンなどが食卓に並び、
全員でそれらを囲んで食べる。


『抵抗食の会(仮)』とはさしあたりなんだろう?
『権威と特権、規制と既成を脅かす影(EOLより)』
とかなんとか書いてあったけど、難しく考えないとすれば、
普段考えている食べることや食材の概念を突破し、
イレギュラーな味覚体験を共有すること、でしょうか。


これらの食事は、イルコモンズさんが提唱した
配給システムで食することが出来る。


お金のない人は黄色いカード。
自分の夢や目標などをメッセージに書いて、
それと交換する青いカード。
お金がある人は、カンパしますという意味のピンク色のカード。


これらのカードと交換して、食事を配給してもらう。


この仕組みはなかなか面白いものだった。
こういう食の配給システムがあればいいなと思う。
僕が持ってきた食材はあまり人気なかったけど、
カレーはすごく美味しかった。


おなかが一杯になったところで、
アニエス・ヴァルダが監督したドキュメンタリー映画
『落穂拾い』を観る。


■ イルコモンズアカデミー2時間目
午前1時30分〜



アニエスヴァルダはフランスの映画監督で、
『 アニエスv.によるジェーンb.』なんかを監督している人で、
この映画は『物を拾って生活する人々』を取材したドキュメンタリーだ。


もちろんホームレスになってしまったので止むを得ず、
『拾う人々』になった人もいるんだけど、
中には芸術家や自称サラリーマンなどが、
『まだ使えるのに物を捨ててしまう』ことへの抵抗(?)として
『拾う人々』となっていることなどが取材されていて、面白かった。


市場には出せないけれども問題なく食べれるジャガイモや、
市場で売れ残った食べ物は大量にあり、それらは結局は捨てることになり、
その巨大な無駄の隣で、食べるものすらないホームレスがたくさんいる、
深刻な問題なんだけど、演出がセンスよくて、観てて苦痛じゃなかった。


『落穂拾い』を観終わった後、
おなかが一杯のまま、みんなで『真夜中の遠足』へ。


■ダンプスター遠足ダイヴin新宿
午前3時00分〜


『落穂拾い』を観て感じたことを反芻しつつ、
全員で実際に新宿へ散歩に出掛け、
公園のゴミ箱を漁ってみたりした。


ゴミ箱を漁るのはなかなか楽しくて、
面白いな〜と思ったことは、結構意外な気がした。



個人的には新鮮な発見だったけど、
道端に何か落ちてないか注意しながら歩くと、
結構いろんなものが見つかる。ここには書けないけど、
欲しかったものを3個拾って帰る。


遠足から帰って、買ってきたビールを飲みながら、
WTO会議に関する反WTO行動などの、
デモの際の映像(コレはすごかった)を観たりした。


実際にこのデモによって会議が出来なくり、
会議を中止せざるを得なくなったりしたらしい。


また、ナイキの靴やディズニーランドで着る衣装を作るために、
労働搾取工場(スウェットショップ)で時給40円で働く
タヒチなど外国の労働者のドキュメンタリーフィルムを観る。


イルコモンズさんも言っていましたが、
こういった映像を見ると、誰もが当然、
何とかしたいと思うのだけど、結局は自分たちの
日常の消費行動そのものがこういった企業を支えていて、
これらに対して出来る日常レベルでの抵抗ってのは、
『モノを買わない』といことぐらいなんだな〜と思う。


■三時のおやつ
 (イルとクラのカステラとサパティスタコーヒー)
午前6時00分〜


ここで再び『抵抗食の会(仮)』の
皆さんが作ってくれたおやつを食す
『三時のおやつ』タイム。


『三時のおやつ』とはいえ、時間が押したらしくて、
すでに時間は朝の6時になっていた。


牛乳と卵を一切使用していないケーキと、
同じくさつまいものアイスクリーム。
サパティスタ産のコーヒー豆を使用した
サパティスタコーヒーと紅茶が添えられる。



ケーキは本当に美味しくて、
牛乳とか卵を使わなくても
コレだけのものが作れることに驚きがあった。
サパティスタコーヒーも本当に美味しかったな。


■さらにイルコモンズアカデミー
午前7時00分〜


さらにイルコモンズアカデミーは続き、
『音楽やソフトなどの著作権の共有』
についてのVTR(テレビ番組なのかな?)をみる。


僕は音楽やソフトなどを誰もがある程度
『共有』できるようにするべきだと思っていた。


著作権に限らず『共有』するというと、
共産主義みたいだ』といわれるワケだけど
(実際VTRでもインタビュアーが言ってた)、
それに答えて、『マルクスが登場するずっと以前から、
人とものを分かち合うこととか、隣人愛など、
人と『共有』すること自体は存在していたわけで
それを共産主義的といわれるのはナンセンスだ』と言ってた。
『共有』することが『犯罪』になるような世の中はやっぱりおかしいと思う。


VTRに登場する男性も言っていたけど、
『子供の頃はお菓子を買ったら独り占めせずに、
友達にも分けてあげなさい』と親に教えられていたのに、
大人になったら人と分け合おうとするその行為が犯罪になる』。
今だとJASRACによる音楽著作権の独占なんかが話題だけど、
あれはきっと僕だけではなく、大勢がヒドイと思っているに違いない。
とか言いつつ、大勢のことはよく知らないけど。


イベントの最後は、
1992年に行われた、リオデジャネイロでの「地球環境サミット」で、
12歳の少女(セヴァン=スズキ)が発表した、
“伝説のスピーチ”上映で幕を下ろした。



イルコモンズさんの編集で、BGMにDavid Darlingとか使われていて
こういう夜中続いたイベントの後の、朝の時間帯に聴くと、
チェロの響きはなかなか泣けるものだった。


会場の外に出ると、パラパラと雨が降っていた。


今日見た映像の感想とかを、友達と話しながら、
雨の中を濡れながら、歩いて帰った。